「箕面市といえば、猿!」というイメージを持っている人は多いのではないでしょうか?
かつて箕面市には、たくさんの猿がいましたが、現在はあまり目にしなくなったと感じる人も多いでしょう。
箕面市から猿が消えた!という声もよく耳にします。
箕面市の観光資源であり、風物詩だった猿ですが、餌やり禁止条例が発令され、現在はめっきり出会うことが少なくなっています。
この記事では、箕面市と猿との関係について、詳しく説明していきます。
現在も箕面市で、猿に会うことはできるのでしょうか?
箕面の猿は、国から天然記念物として指定されており、箕面といえば猿を思い浮かべる人が多いほど、猿のイメージが定着しています。
しかし、現在では、箕面市で猿を見かけることは少なくなってきています。
それは、条例による影響が大きく関係しているのです。
箕面市と猿との、つながりについて見ていきましょう。
昭和29年、箕面山で、猿の研究と観光促進のため、猿の餌付けを行ったのが、箕面の猿のはじまりです。
昭和30年には、滝の上に「箕面山自然動物公園」が開園され、野生の猿の行動や、生態を観察できるとして、多くの観光客が訪れ、箕面の人気観光名所になりました。
さらに、翌年昭和31年には、箕面の猿は、天然記念物の指定を受け、箕面市を代表する動物となったのです。
かつて箕面の猿は、箕面市民に親しまれており、箕面市の大きな観光資源でした。
猿の餌付けが進むと、猿が人に慣れすぎてしまい、餌を求めて、観光客に飛びついたり、民家に侵入したりするようになったのです。
昭和50年ごろには、猿による被害届は、年間300件を超えるほどの数でした。
人間から、たくさんの餌を与えられた猿は、繁殖力が高くなり、その数がどんどん増えていきます。
昭和31年ごろは、100匹ほどだった猿ですが、あっという間に400匹ほどに増加したのです。
猿の数が増えると、ますます猿による被害が増加し、箕面市は頭を抱えていました。
猿による被害が後を立たないため、昭和52年に箕面山自然動物園を閉園します。
問題解決に向け、計画なしに猿に餌を与えることをやめ、箕面山猿調査会が発足されます。
猿の専門家が、さまざまな視点から箕面の猿を調査し、大きな成果を残します。
その後は、箕面山猿保護管理委員会を発足し、箕面の猿の保護と管理のために調査を行っています。
箕面の猿が、野生生活に戻れるために、山に果実などがなる木を植えたり、山の中の決められた場所のみで小麦の餌を与えたりして、猿を自然に帰すサポートをしています。
また、猿による被害を防止するためのパトロールも強化されました。
しかし、観光客などによる猿への餌やりが続いているのが現状でした。
これでは、市がさまざまな調査や研究を行っても、猿を自然な生活へ戻すことはできません。
そのため、平成22年に、「箕面市サル餌やり禁止条例」が施行されたのです。
猿への餌やりは、条約違反で、餌やり行為を発見した場合は、指導が行われ、従わない場合は勧告、それでも従わない場合は命令を下します。
命令されても従わない場合は、1万円以下の罰金が課されます。
箕面で猿を見かけても、餌を与えないようにしてください。
また、猿に出会っても、食べ物を見せたり、近寄ったりしないよう、市は呼びかけています。
箕面市で、猿に会いたいと思って訪れる観光客はたくさんいます。
しかし最近は、猿が消えた?と感じるくらい、猿に出会えることは難しくなっています。
少し前までは、箕面の滝付近に、たくさんの猿がいたのですが、現在ではその付近でも、猿に出会える機会はめっきり減っています。
阪急箕面駅から、箕面大滝へ向かう滝道や、ドライブウェイなどで猿に出会えることがまれにあります。
箕面の滝の東側の坂をあがった道路の横にある山、こもれびの森の北側にも、猿がいることがあるようです。
こもれびの森の中央を横切っている道路に、猿がいることもあります。
現在では、猿に出会える機会が少なくなった箕面の滝にも、猿がたまに現れることもあります。
また、箕面山の近くにあるダム付近でも、猿が出現することもあるようです。
しかしながら現在では、箕面で猿に出会うのは難しくなっています。
猿に出会えないということは、猿が消えたのではなく、猿が自然の中で、猿本来の自然な姿で野生生活を送っているのだということを、覚えておきましょう!
箕面で猿に出会ったら、猿と目を合わさないようにしてください。
目を合わせると、猿は威嚇していると感じて、襲ってくることがあります。
目を合わせないように注意しながら、ゆっくりと立ち去るようにしてください。
猿を見かけたら、決して近寄らず、遠くから見守るようにしましょう。
食べ物を見せたり、餌を与えたりすることは禁止されています。
かわいい猿に餌をあげたいと思うかもしれませんが、餌やりはしないようにしてくださいね。
箕面市の猿は、野生の状態のまま、大都会近くに生息しているため、世界でも貴重な存在です。
箕面市の猿は、国の天然記念物に指定されており、市によって保護されています。
箕面市では、昭和52年から猿を猿本来の自然な野生生活に戻す取り組みに力を入れています。
「箕面市サル餌やり禁止条例」が施行されたのも、その一環です。
山の植物生産量の調査を行ったり、餌場を移動させたり、与える餌の量を減らしたりして、猿が自然採食できるようサポートしています。
猿が、街中に出て、餌を探すのではなく、自然の山の中の、新しい餌場で生活が送れるように、さまざまな取り組みを行っています。
箕面市から猿が消えたのではなく、猿が自然に戻ったということなのですね。
箕面市だけではなく、ニホンザルが生息している場所は日本国内にたくさんあり、猿の群れ数や生息数は、どこも増加傾向にあります。
箕面市と同様に、猿の個体数が増加すれば、猿による被害もそのぶん増えていきます。
とくに深刻なのが、農作物の被害です。
農林水産省によると、農作物被害金額のなかの、全体の7%がニホンザルによるものだと発表されています。
箕面市のほかに、国の天然記念物に指定されている猿は、幸島(宮崎県串間市)、高崎山(大分県別府市)、高宕山(千葉県富津市)、臥牛山(岡山県高梁市)、下北半島(青森県)です。
猿が天然記念物として指定されているため、動物保護の観点から、保護することが優先されます。
そのため、どんなに猿による被害が増加しても、駆除などができないということも、ニホンザルの個体数が増加する原因となっています。
また、野生の猿を餌付けによって、野生の猿のいる自然公園を作った野猿公園は、観光が目的であり、多くの観光客が訪れます。
観光客の数が多くなるほど、猿に餌やりをすることも増えてしまい、その結果、ニホンザルの数がますます増加してしまうのです。
全国的にも、ニホンザルの数は増加傾向にあるため、専門家が猿の生態を研究したり、調査したりして、この問題に取り組み、改善策を練っているようです。
現在できるもっとも簡単な施策は、猿に出会っても、餌を与えないことです。
猿に餌をねだられても、餌を与えないことで、猿が自然に帰り、ニホンザルの増加を防ぐことにもつながるのです。
箕面市の猿は、国の天然記念物に指定されており、市によってしっかり保護管理されています。
一時は、猿による莫大な被害が出ていましたが、箕面市のさまざまな取り組みにより、猿が自然に戻り、人間との距離が少しずつ離れていき、被害も減少してきました。
箕面市で猿に出会っても、決して餌を与えず、近寄らずに遠くから優しくその可愛い姿を見守ってあげてくださいね。